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2060年の小矢部市を見据えて。人口減少時代に必要な、これからのまちづくりとは?/令和8年9月小矢部市議会定例会林登一般質問

執筆者の写真: 林登
林登
17 時間前
読了時間: 12分

令和8年9月定例会において、一般質問を行いました。


今回取り上げたテーマは、大きく分けて次の4つです。

  1. 第8次小矢部市総合計画の策定について

  2. コンパクトなまちづくりの推進について

  3. 公共交通の充実について

  4. 保育所・こども園・小中学校の統廃合について


今回の質問に共通するのは、人口減少を前提として、これからの小矢部市をどうつくっていくのかという問題意識です。


令和7年3月に改定された小矢部市人口ビジョンでは、2060年の将来人口を17,600人と推計しています。

人口が減っていくこと自体を食い止める努力はもちろん必要です。しかし、それと同時に、人口が減少しても市民が安心して暮らし続けられるまちを、今から考えていかなければなりません。

今回は、そのために必要だと考える具体的な提案と、市からの答弁をご紹介します。


① 第8次小矢部市総合計画は、将来の理想像から逆算してつくるべき

 まず取り上げたのは、令和11年度から始まる予定の第8次小矢部市総合計画についてです。

現在の第7次総合計画では、令和10年の目標人口を28,200人としています。しかし、令和8年9月時点の人口は27,176人で、すでに目標を下回っています。

これまでの人口増加を前提としたまちづくりから、人口減少を前提としたまちづくりへ、考え方を転換する必要があります。

そこで私が提案したのが、「バックキャスティング」という考え方です。

 これは、現在の延長線上で将来を考えるのではなく、まず将来の理想像を描き、そこから逆算して今やるべきことを決めていく手法です。

 例えば、2060年に人口17,600人となった小矢部市は、どのようなまちになっているべきでしょうか。

 どこに人が住み、どのように移動し、どのような公共施設があり、どのような行政サービスを提供しているのか。

 こうした将来像を具体的に描いた上で、今から取り組むべき施策を決めていくことが重要だと考えています。


市の答弁

 市からは、これまでの総合計画の形式にとらわれず、計画の体系や期間なども柔軟に検討し、令和9年度から策定作業を進めていくとの答弁がありました。

 また、私が提案したバックキャスティング型の手法についても、先行自治体の事例を参考に、選択肢の一つとして検討していくとのことでした。

もう一つ重要なのが、財政と事業の「選択と集中」

 今後の小矢部市は、新庁舎や学校給食センターなどの大型事業に加え、物価高騰や金利上昇などもあり、厳しい財政運営が見込まれています。

 市の答弁では、市債の元利償還金は令和11年度にピークを迎える見込みとのことでした。

限られた財源と人員の中で、これまで続けてきた事業をすべて維持することは難しくなります。

 だからこそ、今後は何を重点的に進め、何を見直し、場合によっては廃止するのかという判断が必要です。

 私は、事業の選択と集中について、明確な判断基準をつくり、市民にも分かる形で示すべきだと提案しました。

 市からは、総合計画における施策の方向性を整理した上で、財政計画の策定と併せて、市長の意見も踏まえながら重点事業や見直す事業を判断していくとの答弁がありました。

市民の声を聞くことはもちろん大切ですが、それだけではなく、市として何を重点的に進めるのかという戦略的な方向性も必要です。

これからの10年間は、何をやるかと同じくらい、何をやめるかを決めることも重要になると考えています。


② 居住誘導区域に人が集まる仕組みをつくる

 次に、コンパクトなまちづくりについて質問しました。

 小矢部市の立地適正化計画では、石動地区と埴生地区の一部、そして津沢地区が居住誘導区域に設定されています。

 人口減少が進む中で、市内全域に住宅や公共施設、道路、上下水道などをこれまでと同じように維持していくことは、将来的に大きな負担となります。

 そのため、一定のエリアに居住を誘導し、人口密度を維持していくことが重要です。

 しかし、実際には居住誘導区域内の人口密度は低下しています。市の答弁によると、住民基本台帳を基にした算定では、令和2年度の1ヘクタール当たり22.2人から、令和7年度には21.1人となり、5年間で約5%低下しています。

そこで私は、現在の施策をもう一歩踏み込んだものにする必要があると提案しました。


私からの3つの提案

① 住宅取得助成金の対象を居住誘導区域に重点化する

現在の定住促進住宅取得助成金は、市内全域を対象としています。

これを居住誘導区域に重点化し、人口を集約したいエリアへの住宅取得をより積極的に後押しする仕組みにしてはどうかと提案しました。

② 空き家をリフォームして賃貸・販売する事業者への補助制度をつくる

現在の住宅取得助成金は、取得した住宅に自ら居住することが前提であり、営利目的のリフォームは対象外です。

しかし、市内には古くなった空き家が多く、一般の方が購入して住める状態にするには、リフォームなどの負担が大きい場合があります。

そこで、民間事業者や投資家が空き家を購入し、リフォームして賃貸住宅や中古住宅として市場に流通させる場合にも、補助制度を設けてはどうかと提案しました。

例えば、居住誘導区域内であれば、空き家の改修や賃貸住宅の整備に対して支援する仕組みです。

こうすることで、空き家の解消だけでなく、移住者や市内で働く方々の住まいの選択肢を増やすことにもつながります。

③ 居住誘導区域内での賃貸住宅の建設を促進する

現在、市内では賃貸住宅の空きが少ない状況もあります。

そこで、民間事業者が居住誘導区域内にアパートなどを建設する場合に、1,000万円や2,000万円規模の補助も含め、積極的な支援を検討してはどうかと提案しました。


市の答弁

 市からは、居住誘導区域への住宅やアパートの立地促進は、持続可能なまちづくりに重要であり、従来より踏み込んだ誘導施策が必要との認識が示されました。

 また、民間事業者による空き家のリフォームや住環境づくりへの支援についても、効果的な制度がないか、今後調査研究していくとの答弁がありました。

 具体的な制度の創設が決まったわけではありませんが、市としても新たな支援策を検討する必要性を認識していると受け止めています。

 人口を誘導するためには、単に住宅取得を支援するだけでなく、住みたいと思える住宅が実際に市場に出てくる仕組みも必要です。

 今後も具体的な制度につながるよう、提案を続けていきたいと思います。


③ タクシーを利用しやすくし、妊産婦の移動も支援する

 3つ目は、公共交通の充実についてです。

 コンパクトなまちづくりを進める上では、居住誘導区域内だけでなく、市内の中山間地域などに住む方々の移動手段を確保することも重要です。

 特に、タクシーの運転手不足は深刻な課題です。

本年6月には、小矢部飲食店組合と津沢飲食店組合から、市内のタクシー不足について市長に要望書が提出されたと聞いています。

市が取り組んでいるタクシー事業者への支援

市からは、これまでの支援に加え、令和8年3月補正予算で新たに設けた制度について説明がありました。

  • 第二種運転免許の取得費用補助

  • 新規就業者への支援金

  • 配車予約アプリの導入支援(DX)

  • ハイブリッド車の購入支援(GX)

 8月末時点で、第二種運転免許の取得者が2人、新規就業者が2人となっており、担い手確保に一定の効果が出ているとのことでした。

 また、配車予約アプリの導入によって、利用者の待ち時間短縮や、事業者の効率的な運行が期待されています。


私からの提案:妊産婦にタクシーチケットを提供してはどうか

 ここで私が提案したのが、タクシーを活用した妊産婦の移動支援です。

小矢部市には分娩できる産婦人科がなく、妊産婦の皆さんは市外の医療機関まで通院する必要があります。

 大阪府貝塚市では、妊娠届を提出した方に対して、電子タクシーチケットを提供する取組が行われています。

 妊婦健診や出産時の入退院、産後の健診などに利用できる仕組みです。

小矢部市でも、現在実施している出産等支援交通費助成金の1万円を、タクシーチケット方式に変更してはどうかと提案しました。

 現在は申請すれば1万円が口座に振り込まれる仕組みですが、タクシーチケットであれば、実際にタクシーを利用した方への支援になります。

 妊産婦の移動負担を軽減すると同時に、タクシーの利用促進にもつながります。


市の答弁

 市からは、現在の出産等支援交通費助成事業は申請率が100%であり、妊産婦の経済的・精神的負担の軽減に役立っているとの説明がありました。

 一方で、タクシー配車サービスのアプリを活用した支援については、先行自治体の事例を調査し、現在の助成事業の中で選択肢の一つとして実施できないか検討していくとの答弁がありました。

 妊産婦への支援と地域の公共交通を守る取組を組み合わせることで、限られた予算をより効果的に活用できるのではないかと考えています。


④ 学校や保育施設の再編は、まちづくり全体の視点で考える

 最後に質問したのは、保育所・こども園・小中学校の統廃合についてです。

人口減少が進む中で、子どもの数も減少していきます。

 小矢部市では、令和12年4月に東部小学校を石動小学校へ統合する計画があり、令和18年度までには市内の中学校を1校に統合する計画となっています。

 こうした学校再編は、単に学校の数を減らすという話ではありません。

 子どもたちの教育環境や通学手段、地域のあり方、さらには将来のまちづくりにも大きく関わる問題です。


東部小学校と石動小学校の統合について

市からは、これまでの地域協議会で決定した事項として、次の5点が示されました。

  1. 統合後の学校名は石動小学校とし、校章・校歌も現在のものを使用する。

  2. 東部小学校区は分割せず、石動小学校区に編入する。

  3. 制服・体操服は石動小学校のものを使用し、買い換えが必要となる東部小学校の保護者には購入支援を行う。

  4. スクールバスなどを増車し、通学手段を確保する。

  5. 統合前から両校の合同学習や合同行事を実施する。

統合時期は令和12年4月と明確に示されました。

 私は、制服や体操服について、統合することが分かっているのであれば、これから入学する子どもたちは最初から石動小学校の制服を購入する方法もあるのではないかと質問しました。

 市からは、事前に保護者アンケートを実施したところ、ほとんどの方が兄姉の東部小学校の制服を使用する意向であったため、現時点では令和12年4月に一斉に切り替える考えだとの説明がありました。

 保護者の経済的負担をできるだけ軽減できるよう、今後の購入支援についても丁寧な説明と配慮を求めました。


中学校の統合候補地は、まちづくりの視点も重要

 次に、中学校の再編候補地について質問しました。

 現在、市では中学校再編候補地の適地調査を進めています。

 私は、候補地を検討する際には、現在の子どもたちの居住状況や通学の利便性だけでなく、今後の小矢部市のまちづくりの方向性も考慮すべきだと提案しました。

 具体的には、立地適正化計画における居住誘導区域や都市機能誘導区域との関係を考え、中学校を都市機能誘導施設に位置づけることも検討してはどうかと質問しました。

 市からは、候補地を比較評価する際に、居住誘導区域や都市機能誘導区域に該当するかどうかも評価項目の一つとしているとの答弁がありました。

 また、適地調査は令和8年度中に終了し、報告は令和9年6月をめどに行うとのことでした。

 私は、最終的な結果だけでなく、どのような基準で候補地を比較しているのか、その検討過程についても議会や市民に適宜説明していただきたいと要望しました。

 中学校の場所は、今後の小矢部市の人口配置や地域経済にも影響する可能性があります。

だからこそ、教育だけでなく、都市計画や将来のまちづくりを含めて慎重に議論する必要があります。


埴生保育所・石動きらりこども園の今後について

 最後に、埴生保育所と石動きらりこども園の今後について質問しました。

両施設とも建物の老朽化が進んでおり、今後、統廃合や建て替えなどの議論が必要になると考えています。

 市の社会福祉施設等あり方審議会からは、埴生保育所については引き続き維持すること、石動きらりこども園については入園児童数や施設の老朽化、東部小学校の統合方針などを踏まえて、今後統廃合を検討することが意見として示されています。

市からは、今後の児童数の推移や施設の老朽化、立地適正化計画なども踏まえて、多角的に検討するとの答弁がありました。

 さらに、近い将来、児童数が減少する見込みであることから、次期総合計画には何らかの計画や方針を示す必要があるとの認識も示されました。

 私は、単純に子どもの数が減ったから統合・廃止するという考え方ではなく、地域の子育て環境や今後のまちづくり全体を踏まえて判断する必要があると考えています。

 また、議論を先延ばしにしてはいけません。

 老朽化した施設をそのまま維持すれば、修繕費もかかります。大規模改修をするのか、建て替えるのか、それとも統廃合するのか。

 今後の方向性を早めに決めることで、必要な投資を計画的に進めることができます。

 次期総合計画の策定に間に合うよう、早急に議論を進めるべきだと要望しました。


最後に。2060年の小矢部市を、今から考える。

 今回の一般質問では、総合計画、住宅、公共交通、学校、保育施設と、幅広いテーマを取り上げました。

 一見すると、それぞれ別の課題に見えるかもしれません。

 しかし、私の中ではすべてつながっています。

 人口が減少していく中で、どこに人が住み、どのように移動し、どのような公共施設や行政サービスを維持していくのか。

 これらを個別に考えるのではなく、将来の小矢部市の姿を描いた上で、一体的に考えていく必要があります。

 もちろん、人口減少に歯止めをかける努力は必要です。

 しかし、人口が増えることだけを目標にするのではなく、人口が減少しても、安心して暮らし続けられる小矢部市をつくることも重要です。

 2060年、人口17,600人となった小矢部市は、どんなまちになっているのでしょうか。

 今の子どもたちが大人になったとき、どんな小矢部市であってほしいのか。

 現役世代、そして子育て世代の一人として、将来に責任を持ち、今やるべき議論や改革から逃げずに取り組んでいきたいと思います。

 これからも、市民の皆さんと一緒に、小矢部市の未来を考えていきます。


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